蟹座11度「しかめっ面をするピエロ」*「条件づけ」から心を引き離すレッスン
7月3日前後の太陽のサビアン。ピエロとは子どものように屈託のない素直なこころの現われ…社会的に「権威」「常識」「流行」とされるものを笑い飛ばすことで、この世界に存在する「絶対的なもの」という概念に疑問を投げかけさせようとしているかのよう…。それはあの有名な映画俳優を思い出させます。
「蟹座」が促すもの
「蟹座」というサイン(星座)が
促すのは
「人と人との繋がり」…
そのためには
「共通の認識」
「共通の価値観」が
必要です
誰かと「価値観を共有」することで
自分はひとりぼっちの存在ではない
と安心できる
「居場所」が生まれます
そんな「共通認識」のベースには
「共感」が必要です
そして「共感」に必要なアイテムは…
それは
「こころ」や
「感情」ではないでしょうか?
12星座の中で
【水のエレメント】が
一番初めに現れるのが蟹座です
【水のエレメント】は
「情感」や「気持ち」など
目に見えない「こころ」の領域
牡羊座で生まれ
牡牛座、双子座と成長してきた子どもは
蟹座で「他者」に出会います
楽しくてワクワクするものを
あちこち探し回っていた
双子座ですが
目の前に「誰か」が
現れることで初めて
純粋に好奇心を満たすだけでは
気付かなかった「こころ」や
「感情」の機微を学んでゆくです
こちらのサビアンの90度の位置には
牡羊座11度「国の支配者」
というシンボルがあります
牡羊座から誕生した
自己はとても純粋な存在で
彼の「思い」で
彼の「世界」を創ってゆきます
それはあたかも
自分自身が生きる国を
支配する者…
生れたばかりの赤子のごとく
素直な気持ちで
何のてらいもなく
自分の欲しいものを
欲しいと主張します
けれども
ネガティブな面としては
周囲の人びとは
有無を言わさず
それに従わされるかもしれません
そこで今回のシンボル
蟹座11度「しかめっ面をするピエロ」
の登場です
この蟹座11度のピエロは
周囲の人が盲従している
価値観や常識に憤り
それを皮肉を込めて捉え
自分の感じ方は
周囲の人とは違う
他の人は正直ではない…
と感じているよう…けれども
自分の感じ方を
素直に表現するには
邪魔なものがあり過ぎ
素直な表現ができずに茶化す
(松村潔先生「愛蔵版サビアン占星術」)
ことで紛らわせています
「しかめっ面」という
顔の表情を作ることで
「支配者」を風刺し
ひとびとの笑いを
誘っているのです
喜劇王チャプリン
この2つのサビアンから
思い出されるのが
往年のサイレント・ムービーで
人気を誇った
喜劇王チャプリンです
ヒトラーそっくりな格好で風刺した
「独裁者」という映画もありました
幼少期は
売れない女優であった母親と共に
救貧院を転々としながら
舞台に出演していたそうです
後にあの
ピエロを彷彿とさせる
「放浪者」と呼ばれる格好で
一世を風靡しました
人気が出てからも
スキャンダルや
政治的姿勢を非難されるなど
波の多い人生だったようです
そうしたバッシングに負けず
ひとつの映画の脚本に
2年以上かけるなど
切磋琢磨を怠らず
映画製作に
情熱を注ぎました
生涯映画を通して
自分の「思い」を
伝えることを貫き
大衆に訴え続けました
悲劇がかえって
笑いの精神を
刺激してくれるのである…
笑いとは
すなわち反抗精神である
私たちは
自然の威力というものの前に立って
自分の無力ぶりを
笑うよりほかにない
-笑わなければ
気が違ってしまうだろう
チャールズ・チャップリン、悲劇的な題材からコメディを作る理由について
(Wikipediaより)
感情や思いを
「笑い」に変えれば
心を軽く出来る…
と伝えているのではないでしょうか
「辛い」ときこそ「笑い」が必要
このことが痛切に感じられたのは
ある年の健康診断で
乳がん検診に
引っかかった時のことです
「要再検査」と書かれた
結果評を前に
不安に押しつぶされそうになりました
そして近隣の専門クリニックを
尋ねたのですが
そこには待合室に大きなスクリーンがあって
「チャップリン」の映画が
延々と映し出されていました
最初は、なんでまた
このご時世に
チャップリンなのよ…と
皮肉に眺めていた私でしたが
順番を待っている間
またあの不安が胸をよぎったとき
その意味が分かりました
院長先生は
不安な患者さんのこころを
少しでもほぐそうと
この映画を流し続けているのだ
とわかったのです
幸い再検査の結果は
全く問題ないもので
胸をなでおろしましたが
クリニックを後にする時
入れ替わりに入って来る
女性たちを見て
「治療」に進まなければならない方も
いるのだろうなと思い
祈るような気持ちになって
あの映画がどうか
その方のこころを慰めますよう
と祈るばかりでした
甲羅の中は
そんな風に
私たちの「こころ」というものは
外からは決して伺い知れない
「深淵」のような部分が
あるのではないでしょうか
例えて言うなら
蟹の甲羅のように
何か必死でその「深淵」を
護ろうとしている
鎧のようなものがあって
だから他の人からは
容易には見えないのです
そして固い「蟹の甲羅」の中は
「どろっとした液体」ですよね
蟹座が象徴する
私たちの「心」というものは
そうした
他の人からは見えない
ドロドロしたものが
隠されているのだと思います
まるで蝶になる前の
サナギのごとくに…
私たちの「こころ」とは
そういうものであるということ
蟹座生まれの方でなくても
私たちは誰しも
そういう「こころ」と共に
生きているのです
ですからこのピエロも
心の中で
「自分の感じ方が他の人と違っている」
といった
拭えない「違和感」を
感じてしまったのだと思います
けれど彼はそれを
人に押し付けることなく
ただ「しかめっ面」をしてみせることで
「笑い」に変えたのだと思います。
「条件づけ」からの解放
けれど私たちが
「感じ取っていること」を
しっかりと見つめるためには
まずは「囚われている心」を
解放しなければなりません
こちらのサビアンよりも前に
こんなシンボルが登場しています。
小さな車が
大きな集団=列車にぶつかっていく
というもの
ある意味
「自分を上手に表現する」もくろみに
失敗してしまう
それがトラウマになって
「声を上げてはならない」と感じ
「身動きができない」と思っている
そんな思いは
誰しも感じたことが
あられるのではないでしょうか
(タロット「ソードの8」)
ですからまずは
そんな自分の「囚われ」を
手放すことが
大切なのではないでしょうか?
牡羊座11度の「支配者」
=「長いもの」に
盲従している自分…
本当の自分を隠して
笑っている自分…
それこそが実は
「道化師(ピエロ)」
であるとも言えそうです
そんな「ピエロ」をやめて
勇気を持って
「しかめっ面」をしてみることも
時には必要なのかも…
自分自身のつまらない習慣や
振る舞いを笑い飛ばし
無駄なものを吐き出す
ことで
社会に対して
批判する
けれどもそのように見えて
実のところは
自分の中にある
「条件づけられた心」
を手放して
自由にしようとしているだけ
(松村潔先生「愛蔵版サビアン占星術」)
こう考えてみて下さい
先ほどの
「ソードの8」のカードは
本当は目隠しも
手に結ばれたロープも
ユルユルで
立ち去ろうと思えば
いつでも立ち去ることが
できるのだとされています
私たちもほんとうは
「自分を閉じ込めている」のは
じぶん自身であるかもしれないのです
だから時には
「しかめっ面」から始めてみても
いいのではないでしょうか?
まずは恐れを手放し
子どものように率直に
素直な気持ちを
素直な自分を
さらけ出してみること…
それも
時には必要だよと
今回のシンボルのピエロが
伝えてくれているのかもしれません