誰かの言葉に
誰かの態度に
「許せない」と思ったことは
きっと誰にでもあると思います。
そんな時、必ずしも
相手に「怒り」をぶつけることが
できるとは限らない。
気持ちを押し殺して
自分の中へと
沈めてしまったこともあるでしょう。
たとえ、こぶしを振り上げて
それを思い切り、
降り下してみたところで
それで気が晴れるでしょうか。
わたしは、
そうは思いません。
何故なら
相手を変えることは
決してできないから。
そして
根っこはきっと
もっと深い処にあるから。
それは
自分の中にあるもの。
それは
自分の中にあった
相手に「期待」した気持ち。
自分の中で
何かを求めていたこと。
切実に
願っていたこと。
それが
叶えられなった
悲しみ。
「こうでなければならない」と
疑いもなく
信じていた事。
どうしても
自分にとっては
「そうでなければ」
ならなかったこと。
そして相手に
「そう言って」
もらいたかったこと。
狂おしいほどに…。
けれども
さあそれは叶わなかった。
きっと
あなたにも
幾度も幾度も
そんなことがあった筈。
わたしにもあった。
タロットではそれは
「死神」のカード。
蠍座のカードだ。
蠍座の守護星は、冥王星。
それは、死と再生の星。
何かがそこで
壊れて、終わる。
相手に失望するか。
自分に失望するか。
でもそれは
同時に再生なのだ。
新しく何かが
始まってゆくとき、なのです…。
あなたの心で壊れた何かが
音を立てて崩れた何かが
あって初めて
自分の中に
うずもれていたものが
顔を出す。
(それこそが
「こうでなければならない」と
決めていた
「フレーム」の下の
本当の「あなた」)
私はこんなことが許せないのだ。
私はこんな風にして欲しかったのだ。
こんな風に言ってもらいたかったのだ。
ただじっと
それを
見つめてあげて。
それは
遠い遠い
過去からのメッセージ。
子供の頃か
生まれたばかりの
赤ちゃんの頃。
はたまた
生まれる前の、
過去生からの…
それは何か
「満たされなかった」キモチ。
それがあなたの中に
残っているのです。
深い傷のように。
まずは
そのメッセージを
受け止めてあげてください。
許せなかった誰かに
ぶつけるのでなく
あなた自身が
その「想い」に目を向けて、
そっと、抱きしめてあげて…。
そうすればきっと
その「想い」は
小さな子供の
無垢な瞳のように
あなたをじっと
見つめ返す。
そうすれば
そこで初めて
あなたは立ち上がり
次の一歩を
歩き出せることでしょう。
相手を許せても
許せなくてもいい。
ただあなたが
その「想い」を見つめ
受け入れ
愛することで
たぶん少しだけ
心に
余裕が生まれる…
すると相手にも
何か
そうしなければならなかった
「事情」があったのかもしれないと…
相手も
完璧な存在ではなくて
自分と同じ
弱い存在なのだと…
少しだけ
思いをめぐらすことが
出来るかもしれません。
そして
きっと少しだけ
硬直した
今の苦しい場所から
自分を引き離すことが
できるかもしれません。
きっと…
たぶん。
そのあとは
長い長い時間が、
かかってもいい。
いつかその誰かを
どうぞ許してあげてください。
だって
あなたに
幸せになってほしいから。
いつまでも過去に
捕らわれることなく
明日へ
歩いて欲しいから。
何故なら
「許せないことそのもの」が
何よりも
あなたの重荷だから。
あなたをずっと、
傷つけ続けるから。
いつかきっと
手放せる日が来る。
死神のカードの背後には
朝日が昇っている。
手放すことが、
何よりの救い。
そしてあなたが…いつか
あなたが
してもらえなかったことを
あなたの
目の前の人にしてあげて…。
あなたの
叶わなかった悲しみを
癒すために。
その時きっと
あなたの「悲しみ」は
輝きに変わる。
朝日のような。
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